認知症とは

高齢化が進む社会背景

日本の総人口は、2008年をピークに、2015年11月には1億2711万人、2016年4月には1億2698万人と減少が進んでいます。
そのなかで、大きな問題となっているのがやはりこの高齢者数の増加、そしてそれに伴う「認知症の急増」です。

厚生労働省は2015年1月、全国で認知症の患者数が2025年には700万人を超えると発表しました。これは65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症に該当する計算です。
認知症高齢者の数は、2012年の時点で約462万人と推計されており、約10年で1.5倍にも増える見通しです。これに「認知症予備軍」といわれる軽度認知障害(MCI)を加えると約1300万人となり、65歳以上の3人に1人が認知症またはその予備軍ということになります。
「認知症1300万人時代」の到来です。

2013年の1年間に認知症または、その疑いで行方不明者10,000人
認知症が原因で身元不明のまま、保護された人、全国で35人

ここで軽度認知症(MCI)の説明をします。
MCI とは、Mild Cognitive Impairment=軽度認知障害のことで、まだ認知症とは呼べない健常と認知症の中間にあたるグレーゾーンの段階をいいます。記憶、決定、理由付け、実行などの認知機能のうち、ひとつの機能に問題が生じてはいるものの、日常生活にはほぼ支障がない状態です。要するにボケるか、ボケないかの瀬戸際にあるのがMCIです。
痴呆の症状があらわれた段階では、脳はすでに萎縮をきたしており不可逆性に進行しています。しかしこのような状態においても本人に病識がないというのが、認知症の恐ろしい特徴でもあります。

ボケと認知症は何が違うのか

「最近・・・物忘れが多い」
「人の名前が出てこない)
「あれ・・・何だったっけ」
で思い出せるのは 物忘れで俗に言われるボケというものです。

『本人が忘れていることに気づかない』、『家族が変化に気づく』これは認知症の可能性が高くあります。要は記憶の欠落があるのが認知症です。

認知症はMRIや長谷川式検査などで確定診断されます。しかし周囲はそういった検査はしなくても特にご家族であればその変化に気づかれることが多いようです。

以下の項目に当てはまる方はお早めに専門医を受診ください。

・買い物のたびに同じものを買ってくる
 例えば・・・ラップ、カレールー、マヨネーズなど
・電化製品を使いこなさなくなった
 例えば・・・洗濯機を使用していたのにいつの間にか手洗いで洗っている、携帯電話の充電をしないままのことが多くなった
・片づけられなくなった
 例えば・・・物がどんどんたまる。捨てられない。
・数分前に話したことをまた繰り返し話す
・忘れたことを指摘すると否定し不機嫌になる
・病院へ行くことを拒む
・財布がない、大切なものをとられたなど被害妄想が目立つ
・以前に比べて老人性のうつ気質が目立つ
・今日の日付がまったく分からない

認知症状を伴う疾患

アルツハイマー型認知症は神経細胞の集まりである大脳皮質に変性が起こり、神経細胞が死滅、減少して脳が萎縮していく疾患です。
脳の萎縮は広範囲にわたり、中でも特に側頭葉や前頭葉が目立ち、通常成人1200~1400グラムある脳の重さは進行した患者さんで1000グラム以下になります。
脳の萎縮により血流が低下し、神経細胞間で情報を伝えていた神経伝達物質も失われてしまい、障害された部位が担当していた認知機能が低下していきます。

大脳の構造(外側)

アルツハイマー型認知症

人の名前と顔が一致しなかったり、物覚えが悪くなったり、こうした、物忘れは脳の老化によるもので、ごく自然に老化とともに徐々に進行します。
しかし、認知症は老化とは違い、病気により脳の神経細胞が衰退することで起こる状態のことです。そして「老化による物忘れ」とは比べられないほどのスピードで進行し、徐々に理解力や判断力が失われていき、日常生活に影響が出ます。

その認知症の中でも「アルツハイマー型認知症」が特に多く、高齢化とともに問題視されている病気の一つです。

アルツハイマーの病期

初期 

一見、日常生活は大きな支障がなく送れるが、帰路が分からない。自動車で買い物に行って歩いて帰ってくるなどの行動がみられる。
抑うつ傾向、軽度の記憶障害、判断力の低下、言葉が出てこない。
成年後見制度の相談が必要。

中期

見当識障害といって何日か、どこの場所なのかなどが分からなくなる。
単語は出ますが主語述語といった言葉は選択できず、会話が難しくなります。
記憶障害の悪化、徘徊が目立つようになります。場合によっては、幻覚、妄想などの行動心理症状も目立ちます。
これまでのような人格ではなく、イライラしたり怒ったり、怒鳴ったりすることもあります。

末期

言葉が出てきません。更衣、排泄、食事などすべてに介助を要し日常生活動作が一人では出来ません。
脳の萎縮も顕著になっており、箸を使うから食事ができる。コップを持つから飲水できるなどの理解が出来なくなります。
これまでの経過による行動制限や活動低下から中期で見られた徘徊はなくなります。また階段の段差や自動車の降車や乗車が難しくなります。

アルツハイマー治療の現状

2016年11月、アメリカの某大手製薬会社が、開発中のアルツハイマーの治療薬に、有意な進行抑制がなかったとする臨床結果を発表し医療界に衝撃を与えました。アルツハイマーが治らないのはもちろん、治療薬の開発の失敗は、医師や研究者たちが「アミロイド仮説」を信奉しすぎていた結果です。実は今、このアミロイド仮説そのものに疑問が呈されているのです。